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投稿日:2022年4月26日
食品メーカー5社による協同取り組み「プロジェクトA」活動報告
おうちで、学校で!コロナ禍でも食物アレルギーを伝える活動を展開
副読本を540校に配布、オンライン出前授業に延べ287人が参加
オタフクソース株式会社
ケンミン食品株式会社
株式会社永谷園
日本ハム株式会社
ハウス食品株式会社
食物アレルギー配慮商品を持つ食品メーカー5社(※1)による協同取り組み「プロジェクトA」は、コロナ禍においても食物アレルギーに関する啓発活動、情報発信を継続しています。家庭の調理機会増加でメニューにお困りの方に向けたレシピ提案を強化した他、子どものうちから食物アレルギーへの理解を深めてもらうために、小学生にむけた副読本(※2)を制作し、副読本を使用した「オンライン出前授業」を行いました。副読本は全国16エリア(※3)の小学校を中心に案内し、合計約8万部を540校に無料配布、オンライン出前授業は計4校の実施で、延べ287人が参加しました。
(※1)オタフクソース、ケンミン食品、永谷園、日本ハム、ハウス食品の5社(五十音順)
(※2)副読本とは、小学校・中学校などの授業で使用される、文部科学省による検定に合格した「教科用図書(教科書)」を補完する図書。もしくは教科書がない教科の教科書の代わりとして使用される図書。
(※3)北海道、宮城県、千葉県、埼玉県、東京都、神奈川県、新潟県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、岡山県、広島県、福岡県、熊本県
1.コロナにより在宅時間が増加。メニューにお困りの方に向けたレシピ提案
新型コロナウイルスにより日常生活が変化していった2020年度(2020年4月~2021年3月)は、食物アレルギーをお持ちの方々に何ができるのかを検討する中、食事でのお困りごとについてのアンケート 結果(※4)に着目。
最も多かったのが「メニューがマンネリ化する」(70.7%)「メニューを考えるのが大変」(62.2%)「調理の負担が大きい」(48.9%)など、在宅時間の増加により調理機会が増え、献立づくりと調理負担にまつわるお悩みを抱えていることがわかりました。
お悩み解消に向け、9月に『簡単&アレンジ広がる』をテーマにした食物アレルギー配慮レシピを8品公開し、調理負担軽減とアレンジによるレパートリーの拡充につながる活動を行いました。外出自粛傾向が続いていた2021年3月には、春休みに子どもがお手伝いをしながら楽しく料理ができるように『親子で楽しむ手作りメニュー』をテーマにしたレシピを6品公開しました。2021年1月にプロジェクトAに参画したケンミン食品の食物アレルギー配慮商品も取り入れ、よりバリエーション豊かなレシピ展開となりました。
(※4)日本ハム調べ(2020年7月、n=304 食物アレルギーをお持ちの同居のご家族がいらっしゃる方 複数回答)
2.教育現場から食物アレルギーの理解・関心を深める
副読本 配布実績 | |
---|---|
案内エリア | 政令指定都市を含む16都道府県 |
配布校数 | 540校 |
配布冊数 | 約8万部 |
Withコロナを意識する声も聞かれるようになった2021年度(2021年4月~2022年3月)は、直接的なイベントができない中での新たな活動として、教育の場を通じて食物アレルギーについての理解を深める情報発信に取り組みました。食物アレルギーの症状は、大人よりも子どもにあらわれる傾向がある一方で、子どもの頃に食物アレルギーについて知る機会は多くないことから、子どもたちが食物アレルギーを知り、自分でできることを考えて行動するようになることを目的に副読本『知ろう!学ぼう!食物アレルギー~みんなでいっしょにおいしく食べよう~』を制作。2021年5月に3万部、9月に5万部の計約8万部を全国16エリアの小学校を中心に案内し、お申込みいただいた540校に無料配布しました。
さらに副読本を活用した「オンライン出前授業」を実施。プロジェクトAが講師となり、食物アレルギーについて直接伝える場として、オンラインで小学5〜6年生に向けて授業を行いました。参画企業1社で1校を担当し、2月末までに計4校(大阪・兵庫・広島・千葉)で実施、延べ287人の児童にご参加いただきました。
「オンライン出前授業」では、副読本を活用した食物アレルギーについてのクイズや食物アレルギー配慮商品を使って食品表示の見方やパッケージ・製造工程での工夫等を伝えました。
授業に参加した児童からは、「今度いろいろな商品の原材料名を見てみたい」「パッケージを見て、食物アレルギーを持っている人へ向けて工夫がされていることがわかった」などの声が寄せられ、興味を深めていただけたことがうかがえました。また「食物アレルギーのある友達へ食べ物をあげるときには必ず表示を確認しようと思った」「安心して食べて欲しいから食べ物について調べたくなった」など、今後の行動につながる感想もいただきました。
3.副読本配布・オンライン出前授業についてのアンケート結果
- 先生が学校で副読本を申し込んだ理由としては、「食物アレルギーの児童が校内にいる」ことや、「知識を身につけてほしい」といった理由が多く寄せられました。また、一部の回答に「授業で使いやすい教材がなかった」という声があり、この副読本が先生の現場で抱える悩みの解決に寄与できたと考えています。【資料1】
- 先生が副読本を活用して授業を行った感想として、食物アレルギーに関して「児童の理解が進んだ」(71%)という回答が最も多く、「児童にとって分かりやすい内容だった」「食物アレルギーの理解が深まった」といった声が多く寄せられました。 また一部の回答で「工夫によって食事が楽しめる、という前向きな反応に変化した」「食物アレルギーに配慮できる子が増えた」といった、児童の意識や行動に変化が見られたという声もあり、行動の変化まで促すことができました。【資料2】【資料3】
- 「オンライン出前授業」にご参加いただいた小学校の児童からは、「いろいろな食物アレルギー配慮商品を作っていることを知って驚いた」「表示の見方がわかった」「食品パッケージに気を付けていきたい」といった声が寄せられ、食品メーカーによる授業ならではの気付きや学びを得てもらう機会となりました。【資料4】
【資料1】学校で副読本を申し込んだ理由(一部抜粋)
- 校内に食物アレルギーのある児童が在籍しているため。
- 食物アレルギーの児童が増え、皆に知って欲しかったため。
- 食物アレルギーがある子がいるが、詳しいことを知らない子も多く、アレルギーがない子でも知っておいた方がよいと思ったため。
- 今まで食物アレルギーに関して授業で使いやすい副読本がなかったため。
- 学習指導要領に食物アレルギーの記載がなく、保健指導で指導できればと思ったから。
- 家庭科の調理実習前に食物アレルギーについて指導を行うにあたって、専門的な内容になるため指導内容に悩んでいたが、こちらの副読本は医師の監修が入っており、食物アレルギーのデータや食品表示についてもわかりやすく書いてあったため。
- 宿泊行事があり、給食とは違うメニューもあり、意識させたかった。
- 食物アレルギーを持っている子の保護者のお困り感の軽減になればと思ったため。
【資料2】副読本に対する先生の感想(一部抜粋)
- 食物アレルギーを持つ児童がいても食物アレルギーについての授業ができていなかった。この副読本のおかげで食物アレルギーについて説明することができた。
- グラフや漫画で解説されていて、児童にとって分かりやすかった。
- 食物アレルギーに対する理解だけでなく、食物アレルギーを持っている子に対する理解も深まった。
- 食物アレルギーを持っている子はどうすればよいかも書かれており、配慮食品など実物で載っているので、食物アレルギーがある子も一緒に食べることができる食べ物があることに気づくことができてよかった。
- 食物アレルギーがあることはかわいそうなことだと思っていた児童が、工夫によって食事が楽しめる、という前向きな反応の変化が見受けられた。
- 毎年、市で給食の献立を児童から募集する取り組みがあるが、この学習のおかげで、みんなが食べられる食物アレルギーに配慮した献立を考える子がたくさんいたので、やってよかったなと感じている。
【資料3】副読本活用後の児童の食物アレルギーに関する認識や反応の変化
【自由回答】
- ピーナッツを含む食品に気を付けるようになった。
- 食物アレルギー対応の食品・調味料を知り、今後に役立てられると思った。
- アレルギーを「わがまま」と思っていた子も、自分にできることはしようと思うようになった。
- 給食のアレルギー対応食に関心を持つようになった。
- 食物アレルギーを持ってる友だちを意識していた。
- 給食のアレルギーチェックを真剣に考える児童が増えた。
- 子ども同志が食物アレルギーを持っている子に対して声をかけるようになった。
- 食物アレルギーの症状を持つ児童へ理解を示していた。
【資料4】「オンライン出前授業」に対する児童の感想(一部抜粋)
- 食物アレルギーの原材料をふくまない商品をいろいろ作っていることに驚きました。また、商品のパッケージにも食物アレルギーの人のために表示を付けていることが分かって、いろいろ工夫しているのだなと思った。
- プロジェクトAの取り組みが印象に残った。自分たちが知らないところでいろいろな活動が行われていることを実感した。
- とてもクイズが楽しかった。クイズをする前とした後では、食物アレルギーに対しての考え方が変わった。
- 食品表示の見方のことがよくわかった。裏面でたくさんの食物アレルギーの原因となるものが書いてあるのに驚いた。
- 食品表示は長くて読むのが大変と思っていたが、どこを読めばいいのかがわかって楽になった。
- 食物アレルギーを持っている友達もいたので、自分たちの日常生活と絡めながら知りたい情報について話した。
- 食物アレルギーのある人に食品アレルギーの原因となるものを食べさせないように気を付けたり、食品パッケージに気を付けたりしていきたいと思った。
- もし家に呼んだ時は、食物アレルギーの原因となるものが入っていない食事を出すことに気を付けたい。
※【資料1】【資料2】【資料3】は、副読本をお申込みいただいた小学校の内69校の先生からご回答いただいたアンケートの集計から抜粋したものです。
※【資料4】は、オンライン出前授業に参加した4校からご回答いただいたアンケートの集計から抜粋したものです。
4.「プロジェクトA」の2022年度活動について
2022年度の活動では、継続してのオンライン出前授業実施や、副読本の配布部数を増やす予定です。子どもたちの食物アレルギーへの理解・関心がさらに深まり、自分でできることを考えて行動することに繋がる活動をはじめ、「みんなで食事をおいしく楽しめる社会の実現」に貢献できるよう、食物アレルギーに関する情報発信や啓発活動を継続してまいります。
5.副読本について
小学校家庭科・健康教育・食育副読本
『知ろう!学ぼう!食物アレルギー~みんなでいっしょにおいしく食べよう~』
概要
- 監修
今井 孝成(昭和大学医学部 小児科学講座 教授) - 編集委員
曽我部 多美(前全国小学校家庭科教育研究会会長)
桂 恵美(東京都府中市立府中第一小学校養護教諭) - 編集協力
長谷川 実穂(小児アレルギーエデュケーター 管理栄養士) - 発行
プロジェクトA(オタフクソース株式会社・ケンミン食品株式会社・株式会社永谷園・日本ハム株式会社・ハウス食品株式会社) - 制作
株式会社全教図
対象
学習の理解度が高まる小学校5~6年生が主な対象。
内容
“食物アレルギーとは何か”から始まり、食物アレルギー表示の事例や食物アレルギー配慮レシピ等、食品メーカーならではの身近な情報を交え、一から食物アレルギーに対する理解を促す内容。
6.「プロジェクトA」活動履歴
参考 食物アレルギーに配慮した各社主要商品の一覧
プロジェクトA参画企業の「食物アレルギー配慮商品」の一部をご紹介します。
オタフクソース株式会社
- 2008年に「1歳からのお好みソース」を発売。同商品をはじめ、「卵・乳・小麦・そば・落花生・えび・かに」を使用しない離乳食を終えた子供向けの「1歳からのシリーズ」は、現在では7アイテムを展開。
- お好み焼・たこ焼、トンカツなど子供から大人まで人気のメニューを、卵・乳・小麦を使わないでつくれる「KAKOMUごはんシリーズ」は2018年より、野菜と果実を贅沢に配合した濃厚な味わいの「お好みソース野菜と果実」は2021年より販売。これらは1歳からのシリーズ同様、上記7品目の原材料は不使用。
ケンミン食品株式会社
- 1950年の創業当初から「卵・乳・小麦・そば・落花生・えび・かに」を使用しない、お米100%のビーフンにこだわり製造。2006年頃から食物アレルギーに関する取組を開始し、2008年にはライスパスタを発売。2020年にはパッケージデザインを「お米のめん」ブランドとして統一。
- お米のめんシリーズはもちろん、ライスペーパーやフォー、えんどうでん粉100%はるさめなどは小麦不使用で、FSSC22000品質管理システムなど高い品質レベルのもと製造しており、掲載商品すべてがグルテンフリーの商品。
株式会社永谷園
- 2003年、誰でも食べられるおいしい商品を目指し誕生した「A-Label(エー・ラベル)シリーズ」は「卵・乳・小麦・そば・落花生・大豆」の原材料は不使用。現在、レトルトカレー、ふりかけなどを販売。
- また、同時期に発売した「アンパンマンミニパックカレー ポークあまくち」は、「乳・小麦・卵・そば・落花生・大豆」不使用のカレー。7種の野菜入りで、温めず、そのままご飯にかけていただくこともでき子供に人気のキャラクターのパッケージを展開。この他、まぜこみごはんの素、粉末タイプのカレールーなど食物アレルギー配慮商品は12アイテムを販売。
日本ハム株式会社
- お客様相談窓口に届いたお客様の切実な声をきっかけに、1996年から食物アレルギーに関する研究を開始。食物アレルギー対応商品や、アレルゲン検査キットを販売。2022年2月より、WEBサイト上で食物アレルギーに関する情報の発信および管理栄養士によるオンライン無料相談等を行うサービス『Table for All 食物アレルギーケア』の提供を開始。
- みんなの食卓シリーズは、「おいしさに安心をそえて」というコンセプトのもと、「卵・乳・小麦・そば・落花生・えび・かに」を使用しない食物アレルギー対応専用工場で製造。ハム、ウインナー、ハンバーグなどの食肉加工品や、山形県酒田産米粉を使用した米粉パン、からあげ粉など、コンシューマ商品および業務用商品を全35アイテム販売。
ハウス食品株式会社
- 「食物アレルギーの子供と、大人も一緒においしく食べられる」をコンセプトに、ロングセラーブランドを冠したカレーやシチューを提供したいという想いから「小麦・乳・卵・落花生・そば・えび・かに」を使用しない調理型カレーやシチューの開発を開始。
- 2014年に「特定原材料7品目不使用シリーズ」のバーモントカレー<中辛>、シチューミクス<クリーム>を発売。現在では完熟トマトのハヤシライスソース、はじめて食べるバーモントカレーやさしい甘口も販売。